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アニメーションアートとは |

セル画とは? |
セル画とは、本来アニメーション映画のフィルムの1コマを 撮影するために透明なシートに描かれたキャラクターの 原画を言います。 現在では復刻版と区別して、プロダクション・セルと 呼ばれているものです。
透明なシートが当初「セルロイド」板であったことから、 この名で呼ばれました。 1940年以降は、セルロイドではなく耐久性の良い アセテート板が用いられるようになりました。 |
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アニメーション制作では、まず全てのセル画の下絵となるキャラクターの絵が紙に 描かれ、その輪郭をアセテート板にトレースします。これをインキングといいます。 この段階で手描きのものをハンドインクライン、コピー機を利用したものを ゼログラフィックラインと言います。
トレースされたシートは裏面に手で色付けされます。 これはペインティングといいます。セリグラフの技法と区別して、手彩色をハンドペイントと 呼びますが、アニメ制作では全てハンドペイントです。
色付けの完成されたシート(セル画)は、場面に応じ別のシートと共に背景画の上に 置かれ、カメラで撮影されたものが、映画フィルムの1コマになります。 通常1枚のセル画で、2コマ撮影され、映画の1秒間には24コマが必要となります。
このように、手間と時間をかけて、アニメーション・フィルムが制作されたのです。 ディズニー映画では、1989年の「リトル・マーメイド」まで、この方法で制作が続けられ ました。
1970年代から美術品として高く評価されるようになったセル画は、1990年以降 アニメーション制作の中心がコンピューターとなった現在、一層貴重な存在として 見直されています。
また、初期の長編、短編映画で作られたセルはほとんど残っていないため、 ディズニーでは、数を限って名場面の復刻版を制作しています。
現在販売されているセル画などのアニメーションアートの種類につきましては、 次の通りです。 |

アニメーションアートの種類 |
プロダクション・セル |
上記の解説の通り、実際に映画やテレビの制作に 使用されたセル画です。 ディズニー映画では、1989年の「リトル・マーメイド」 まで、この方法で制作が続けられました。 スタジオアーティストが1枚ずつ手作業で 彩色したもので、フィルム1コマの撮影につき 1枚制作し、全く同一のセルは存在しません。 また、多くの場合1枚のセル画には1つの キャラクターしか描かれません。 |
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例えば、同じ場面で複数のキャラクターが登場する時、あるキャラクターは静止していて、 他のキャラクターは動作する場合は、静止しているキャラクターを描いたセル画は そのままで、動作をするキャラクターのセル画は、別のセル画に代えられます。 このように、1つのシーンは、複数のセル画と背景画の組み合わせで構成されています。 |
◆ピーターラビットのプロダクション・セル |
通常、一つのキャラクターのセル画は一枚に描かれています。 テレビ・アニメでよく見られますが、動く部分(目、口など)だけ、別のセル画に描いて、 動かない部分に乗せることもあります。
しかし、ピーターラビットのアニメーションでは、一つのキャラクターに最低2枚のセル画を 必ず使用しています。 その理由は、原作の絵本で、作者ビアトリクス・ポターが描いた動物達の精密なイラストの イメージを大切にするために、上記の手順で手描きしたセル画の上に、もう一枚、 動物の毛並みだけを精密に描いたセル画を重ねているのです。
アニメーション制作には一枚だけでも十分撮影は可能ですが、この気の遠くなるような 手法を用いることによって、単なるアニメーションの制作ではなく、ピーターラビットが 絵本から飛び出て、そのままアニメーションで活躍することが可能になったのです。
しかし、この手法は、あまりに時間と手間がかかりすぎ、ビアトリクス・ポターの 20話の絵本を全てアニメーション化することができず、10話で制作が 打ち切りになってしまいました。
アニメーションの歴史の中でも、主にセル画を用いたのは、1930年代から 1980年代の間です。 一つ一つ手作業で制作されたディズニーのクラシック映画や、このピーターラビットの アニメーションは、人間の歴史にとってもどんなに意味のある貴重な存在か、 皆様もおわかりになるでしょう。
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ストーリー・ボード |
アニメーションや、映画などの制作にあたり、まず、最初に描かれる、基本の イメージ・スケッチです。日本ではよく、絵コンテと呼ばれているもので、監督などが、 ストーリーから全体の場面をどのように割り振って一つの作品として完成させていくかを、 このスケッチをもとに、映像や音楽の担当者などと意見を交わしして作品が作られていく、 重要なものです。 作品によって描かれる数は違いますが、 『ピーターラビットとベンジャミンのおはなし』では、約260枚描かれました。 |
ヴィンテージ・プロダクション・セル |
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ディズニーのプロダクション・セルのうち、特に1970年 以前に制作されたセル画をヴィンテージと呼んでいます。
初期の長編、短編映画で使われたセルの多くは、 映画制作後は破棄され、また材料不足のため再利用 されたりして、保管されることはありませんでした。
人手に渡ったものでも破損したりして、ほとんど残って いないため、現存しているセル画は極めて貴重なもの です。
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オリジナル・セル |
1990年の「ビアンカの大冒険:ゴールデンイーグルを 追え」以降、それまで手作業に頼っていた伝統的な フィルム制作の技法に代わり、コンピューター・ グラフィック中心の制作方法になり、キャラクターの セルは描かれなくなりました。
そこでディズニー・アート・クラシックス社は厳選した 名場面を鑑賞用のセル画として特別に制作し、 映画に使用された背景画や、上敷セル、 下敷セルなどとセットにし、オリジナル・セルとして 各約200点のみ、サザビーズのオークションで 発表、販売しました。
「美女と野獣」「アラジン」「ライオン・キング」 「ポカホンタス」などのオリジナル・セルは、 セル画としては最高の品質を誇るものです。
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リミテッド・エディション・セル(ハンドペイント限定版セル) |
1. ハンドインクライン・セル
初期の長編、短編映画で作られたセルはほとんど残っていないため、ディズニーでは、 数を限って名場面の復刻版を制作しています。
特に、輪郭も手で描いたハンドインクライン・セルは、ディズニーのクラシック映画で 使われたセルと同じ手法で作られています。これは、様々な色のインクを使って、 アセテート板にアニメーションの原画を手描きで写しとり、ディズニー研究所で 配合されたゴムまたはアクリル絵の具で彩色されるというものです。 この作業は、アニメーション制作の現場では、ほとんど忘れられてしまった芸術を 守り続けた、ディズニーの幹部クラスのアーティスト数人によって行われました。
手描きされ、手彩色されたセル画はオフセットまたは、リトグラフやジクレプリントの 背景と組み合わされて完成です。
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2. ハンドペイント・セル |
手描きの縁どり(ハンドインク)に代わって 登場したのが、輪郭だけコピーの技術を利用し、 そのあと手彩色で制作したゼログラフィックライン・ ハンドペイント・セルです。(ウエストフィールズ・ ギャラリーではハンドペイントセルと表記しています)
これは、特殊な6段階の複写によって、オリジナルの アニメーション画をアセテートのセルに写したもので、 1950年代後半にディズニースタジオで開発されました。 |
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1961年の「101匹わんちゃん」は、この革新的な技法を全編を通して使用した最初の 長編映画でした。
こうして作られたセルのほとんどは、複写の後、手描きで輪郭を補強してからディズニー 独自の絵の具で彩色され、最後に背景と組み合わされます。 この制作技法は1989年の「リトルマーメイド」まで使用されました。
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セリセル(セリグラフ・セル) |
映画の名場面でのキャラクター達を、セリグラフィー (シルク・スクリーン)による彩色印刷法で、セルに プリントし、限定数(約500〜9,500枚)のみ制作 したセル画。
セリセルの制作ではまず、手描き手彩色でキャラクター のカラーモデル(セリセルの元絵となるハンドインク・ セル)が制作されます。 その後、色の数だけのシルクスクリーンが作られ、 1色ずつ順に印刷されていきます。 |
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例えば、24色のセリセルは24回刷っては自然乾燥させる作業を繰り返すことになり、 大変な手間のかかる作業です。 こうして作られたセリセルは、手彩色のセル画に引けをとらない美しさと楽しいテーマで 種類も多くリリースされています。 コレクションしやすい価格も魅力です。
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ジグレプリント |
「ジクレ」とはフランス語で「インクを吹き付ける」と言う 意味で、コンピューター技術を用いた新しい版画の 技法です。1秒間に何百万というインクの微粒子を、 デジタルの情報に従って上質の版画紙や キャンバスなどに吹き付けます。
特にコンピューター・グラフィックで制作された アニメーションは、オリジナルのデジタル・ファイルから 直接プリントすることができるので、まさに本物の スナップショットと言えます。 |
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従来の版画技法になかった華やかな色合いと、ビロードのような柔らかく深みのある 繊細なニュアンスが特徴で、超高密度デジタルの複製技術というだけでなく、 その新たな表現効果も魅力です。
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ドローイング |
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セル画の輪郭の下絵となる鉛筆で描かれる線描画。
ヘッド・アニメーターがキャラクターの動きをラフスケッチで 描いたもの(ラフ・ドローイング)や、その後、段階を経て セルにトレースされるまでのクリーンアップ作業の段階で 描かれたもの(クリーンアップ・ドローイング)があります。 |
背景画(バックグラウンド・ペインティング) |
映画制作の最終段階でキャラクターの描かれたセルは、背景画とあわせて 撮影されます。草や石など、セル画の上に置かれるものもあります。
実際に映画で使用される背景画(オリジナル・プロダクション・バックグラウンド)は 通常は水彩画で、セル画に比べて非常に数が少なく貴重なものです。
複製の限定版セル画には、背景はリトグラフなどで複写されたものが使用されています。
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ルミセル |
限定版のセル画にスピーカーとライトがついたもの。 映画のシーンそのままに聞こえるセリフや音楽、 それに合わせて画面も光るという斬新な アイディアがとても楽しいセル画です。
セルはハンドペイントセルのものと、 セリセルのものがあります。 画面の右下に内蔵されたセンサーの部分に 手をかざすと、背景のドローイング部分が光り、 後面のスピーカーから各場面のオリジナルの 音声や音楽が流れます。 音のオン・オフや、音量調節も可能です。
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コンセプチュアル・アート |
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アニメーションを制作する最初の段階で、映画の コンセプトやイメージをスタッフに伝える為に、 チーフアーティスト自身が描き表した絵を コンセプチュアル・アートと言います。
水彩画をはじめ、油彩やパステル画など、 様々な技法が用いられますが、映画全体の 一貫した基本的なスタイルは、この絵によって、 各アーティストに説明、指示されます。
チーフアーティストは、ディズニー内外の著名な アーティストが努め、彼らのオリジナル作品である コンセプチュアル・アートは極めて貴重な存在です。 |
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ピーターラビットのアニメーション・アート(セル画、ストーリーボード) および、ヴィンテージを除く、ディズニー・アート・クラシックスが発行した アニメーション・アートには、すべて証明書が添付されています。
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